里親になるための手続き:認定までの流れと必要な準備
里親制度に関心をお持ちいただき、ありがとうございます。
「里親になりたい」という思いが芽生えたとき、次に気になるのは「どうすれば里親になれるのだろうか?」という具体的な手続きではないでしょうか。里親認定までの道のりは、いくつかのステップを経て進んでいきます。ここでは、里親認定を受けるために必要な手続きの流れと、各段階でどのような準備が必要になるのかについて、分かりやすくご説明します。
里親認定までの全体的な流れ
里親になるためには、まず児童相談所への相談から始まり、いくつかのステップを経て都道府県知事または政令指定都市市長による認定、そして登録へと進みます。大まかな流れは以下のようになります。
- 相談:お住まいの地域の児童相談所などに相談します。
- 基礎研修の受講:里親制度や子どもの養育に関する基礎的な研修を受けます。
- 養育実習の受講:乳児院や児童養護施設などで子どもと関わる実習を行います。(養子縁組里親や専門里親を希望する場合、または養育里親希望でも児童相談所が必要と判断した場合)
- 家庭訪問調査:児童相談所の職員が家庭を訪問し、養育環境などを調査します。
- 里親認定申請書類の提出:必要な書類を作成し、提出します。
- 里親認定のための審査:都道府県や政令指定都市の社会福祉審議会などで審査が行われます。
- 里親認定・登録:審査を経て認定されると、里親として登録されます。
これらのステップは、里親になるために必要な知識やスキルを身につけ、ご家庭が子どもを安全に温かく迎え入れられる環境であるかを確認するための大切なプロセスです。
各ステップの詳細と準備
1. 相談
里親制度について知りたい、里親になることを検討したいと思ったら、まずは最寄りの児童相談所に相談することが第一歩です。
- 目的: 里親制度の概要を知り、自分の状況で里親になることが可能か、どのような種類の里親があるのかなどを確認します。疑問点や不安なことを直接相談できます。
- 準備: 特段の準備は必要ありませんが、里親制度に関心を持ったきっかけや、考えていることなどを整理しておくと、より具体的な相談ができます。夫婦などパートナーと話し合ってから行くと良いでしょう。
2. 基礎研修の受講
相談を経て里親になることを希望する場合、次のステップとして基礎研修を受講します。
- 目的: 里親制度の意義や目的、子どもが被る様々な影響、養育に必要な心構えや専門的な知識などを学びます。
- 内容: 里親制度の歴史、子ども虐待の現状と影響、子どもの発達段階、里親の役割と支援、関係機関との連携など、多岐にわたります。都道府県や指定都市が実施するか、委託された団体が行います。
- 準備: テキストや資料が配布されることが一般的です。積極的に質問したり、他の参加者と交流したりすることで学びが深まります。
3. 養育実習の受講(該当する場合)
基礎研修修了後、養育里親希望者の一部や、養子縁組里親、専門里親希望者は、施設での実習を行います。
- 目的: 実際に子どもと関わることを通して、子どもの養育を体験し、養育の実際や子どもの理解を深めます。
- 内容: 乳児院や児童養護施設などで、施設職員の指導のもと、子どもの食事や着替え、遊び、見守りなどを体験します。
- 準備: 実習先の指示に従い、必要な持ち物などを準備します。子どもと安全に関わるための心構えが大切です。
4. 家庭訪問調査
里親として子どもを迎え入れるご家庭の環境を確認するために、児童相談所の担当職員が訪問します。
- 目的: ご家庭の広さ、間取り、衛生状況といった物理的な環境だけでなく、家族構成、家族の関係性、里親になることに対する家族全員の意向、経済的な状況などを総合的に確認します。
- 内容: 担当職員が家庭を訪問し、家族への聞き取りや家の中の確認を行います。プライベートに関わる部分もありますが、子どもが安心して暮らせる環境かを判断するための大切な調査です。
- 準備: 家族全員で里親制度について話し合い、共通理解を持っておくことが重要です。担当職員からの質問に誠実に答えられるように、改めて里親になりたい理由や、子どもをどのように育てていきたいかなどを考えておくと良いでしょう。
5. 里親認定申請書類の提出
これらのステップを経て、里親として適当であると判断された場合、正式な申請書類を提出します。
- 目的: 認定審査を受けるための公的な手続きです。
- 内容: 申請書、住民票、健康診断書、収入証明書、家族状況申告書など、様々な書類の提出が求められます。
- 準備: 必要書類は自治体によって異なる場合があるため、児童相談所の指示に従って正確に準備します。早めに書類を揃え始めると安心です。
6. 里親認定のための審査
提出された書類や家庭訪問調査の結果をもとに、里親として適当であるかどうかが審査されます。
- 目的: 里親候補者が、子どもの養育に必要な心身の健康、熱意、家族の同意、経済的安定性などを満たしているか、専門的な視点から判断します。
- 内容: 多くの場合、都道府県や政令指定都市に設置されている社会福祉審議会の児童福祉専門分科会などで審査が行われます。面接が実施されることもあります。
- 準備: 審査会での面接がある場合は、里親になりたいという思い、子どもの養育に対する考え、家族のサポート体制などをしっかりと伝えられるように準備しておくと良いでしょう。
7. 里親認定・登録
審査を通過すると、里親として認定され、都道府県や政令指定都市の里親名簿に登録されます。
- 目的: 公的に里親として認められ、子どもを委託される対象となります。
- 内容: 認定証が交付され、里親名簿に登録されます。登録区分(養育里親、専門里親、養子縁組里親など)が定められます。
- 準備: 認定された後、すぐに子どもが委託されるわけではありません。登録後も、児童相談所との連携を密にし、子どもを迎える準備を続けることになります。
認定後のこと
里親として登録された後、児童相談所は委託する子どもの状況と里親家庭の状況を考慮し、最も適切だと判断されるマッチングを行います。すぐに子どもが委託される場合もあれば、時間がかかる場合もあります。
認定はゴールではなく、子どもを迎え入れ、共に生活を始めるためのスタートラインです。認定後も、子どもに関する研修や里親同士の交流会などに参加することで、学びを深め、必要なサポートを得ることができます。
まとめ
里親になるための手続きは、相談から始まり、研修や家庭訪問を経て認定・登録に至るまで、段階を経て進んでいきます。それぞれのステップには大切な意味があり、里親として子どもを迎える準備を着実に進めるためのプロセスです。
道のりの途中には、様々な疑問や不安が生じるかもしれません。そのような時は、遠慮なく児童相談所に相談してください。児童相談所は、里親になりたいという思いをサポートしてくれる最も身近な専門機関です。
この情報が、あなたが里親になるための道筋を理解する一助となれば幸いです。